第4章 恐怖の色
「あれ……」
野営テントには人気がなかった。確かに皇帝様は帰還したらしいけどティナの見張りは居なくていいのだろうか?中へ入ればその理由は明らかだった。
「セリス様!」
「ん?ああ、024。具合はもう良いのか?」
ティナの"お遊戯会"には居なかった筈だけど……。ティナの目はまだ覚めていなかった。だが、あの輪は外されている。前のように焼け焦げてはおらずセリス様が手にしていた。……セリス様は、あの輪が何なのか分かっているのだろうか。
「はい、私はもう。あの、セリス様……なぜここに?」
「……なんでもここアルブルクにリターナーの手のものがいると情報が入ってな、情報統制を行う為に来たんだ。皇帝陛下とは入れ違いになりはしたが、ケフカもその命を承けた筈。何も聞かされていないのか?」
無言のまま首を振る。ケフカ様は出かけるとしか言わなかった。それにもし情報統制を行うのなら、なぜ兵を引かせたのだろう?
「そうか、なら今回は何もしない気なのだろう」
「仕切りたがりなのに、珍しいですね」
そういうとセリス様が朗らかに笑った。あまりにイメージと一致しないその表情に思わず呆気にとられる。
「ハハハ!くく……、仕切りたがりか…。フフフ……、確かにそうだな。だが……。
……奴は変わった、関わりたがらないのは情報統制という殺しが禁じられた作戦だからだろう。アイツは破壊の衝動を抑える事が出来ない」