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魔導人形

第4章 恐怖の色


ケフカ様は多くを語らずまたすぐに部屋を出ていった。自由にしていろ、とは言われたものの身体がやはり重たかった。ベッドに沈んだままうつらうつらしていると意識が再び遠のいていく。普段もこうして寝つけたらいいのに、なんて暢気な事を思った。

───夢見はいつも、わるい。
今日の夢見はそう悪くないのが不思議だ、なにせ夢を見てる実感もある。

管の中じゃない、ベッドに横たわっている。身を起こせば長髪が顔にかかった。長い髪って鬱陶しいんだな。私だってそこまで短くはない筈だけど今は特に長い。ベッドから降りて身支度を済まそうとヒビの入った鏡の前に立つ。見たこともない装いだ……。傍に置かれた剣が視界に入る。よく手入れがされている細身で片刃の剣。これは……カタナ?っていうんだったかな……。

ここはどこなのだろう。見渡せば粗末な窓辺に青年が腰かけていた。目が合うと微笑み、また窓の外を見やる。外は雨が降っていた。窓ガラスすらない、ほぼ穴のような窓。

「そこにいたら濡れるでしょ」
「……ここも、見納めになるからな」

見納め……、青年は何処かへ行くのだろうか?私も一緒に?それとも、ここに…。

「ドマにさえ行けば変われるんだ、今より明るい毎日が待ってる。……きっと、お前を迎えに来るよ」
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