第4章 恐怖の色
ふとティナがこちらを見た、視線が揺れ私たちを捉える。腕をゆらりと天に掲げ、足元を砂煙が立ち昇る。
「トルネド……」
「……!ケフカ様」
「おやァ、すーっかり油断してしまいましたぁ!」
けらりと笑うケフカ様。しかしその目は笑ってはいない、強く燃え上がる憎悪。恐ろしさに竦んだ体が逆巻く風に持ち上げられる感覚。風が耳元で唸り声を上げたが突風はサイクロンへは変わらなかった。“シェル”と皇帝が呟いた言葉に呼応するように風が勢いを失い、止んだ。ティナは訝しげにそれを見つめ小首を傾げると、両の手をつき出して力を溜めだした。
「ふん、ワシと力比べをする気か?小娘。」
「ほほぅ……私としましては、それもそれで面白そうですがねぇ……?」
「このちからで……、ッけす!!!」
ティナがケフカ様の憎悪に呼応するように力が高まっていくのが分かる。そうか、操りの輪……!感情が増すと焼ききれていた魔力を利用し、その方向を変えさせているのだろう。だから意志全てを縛ろうとしなかった。
「リフレク!」
大きな魔力が固められた光の玉が放たれ皇帝の魔力と交錯した刹那、魔力が弾けて跳ね返る。次の瞬間にはティナは血溜まりにぐったりと沈んでいた。