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魔導人形

第4章 恐怖の色


やはり何度見てもティナの姿はか弱くしかみえなかった。魔導アーマーに乗る兵士達もそうだったのだろう。暫く戸惑ったように誰も動かなかった。だがティナが不意に軽々と高く飛び上がり迷いなくアーマーに収まる兵士の胸を貫いた瞬間、辺りの気配が変わった。
怒号、悲鳴、魔導ビームが飛び交う。表情も変えず、息の乱れすらなく、アーマーからアーマーへと飛びうつる。まるで血を啜る蝶のように。

「ひ、ひぃぃぃ!!!」「……。」

たまらず魔導アーマーごと飛び退いた兵の群れをティナは追う事をせず、ゆっくりと地に降りて跪き手をついた。兵が戸惑いを顕にザワつく。

「……な、なんだ?」
「魔力が切れたんじゃないか?」

「───フラッド」

地面を破り轟音と共に逆さの滝が空を突く。激流が兵をアーマーごと飲み込み、断末魔が水と共に引いていき静寂が訪れた。

「フォワーーーッホッホッホ!!!!
どうです皇帝!!流石ボクちんのお人形でしょうッ!?わずか三分で五十のアーマー兵が!こっっっ!!ぱ!微塵!!!」

「素晴らしい……。」

呆気にとられる皇帝をよそに惨状に手を打ち鳴らしはしゃぐケフカ様。もはや誰も立ち上がりはしなかった。ポツリと立ち尽くしたティナだけが儚げにふらりと立ち竦む。
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