第4章 恐怖の色
仕度を終えると手帳を覗き込んでいたケフカ様が顔をあげた。
「では行きましょうかねえ。愚かな皇帝陛下の為のつまらんショーを演じに」
ショー……?パッと浮かんだのはお遊戯会だった。これまでの成果を皆に見せる、ような……。つまりティナの"お遊戯会"があるなら、それは……?ふと指先が冷たくなった。嫌な予感がする。
───それからは船に乗り、魔導アーマーに乗り、城から随分離れた開いた荒れ地に出向く事になった。陽は既に真上の辺りを浮かんでいる。魔導アーマーはみな同じ色の魔力が見えた。普段は魔力を持たない人間にも僅かながら色を感じるがあまりのアーマーの色にそれは塗りつぶされて見い出せない。
「皇帝様!ではでは、始めてもよろしいでしょうか?」
わざとらしいへつらい声に目をやるとケフカ様が皇帝にマントを引いて頭を下げていた。赤黒く、ケフカ様の中心にべったりとした悪意が滲む。その色が無性に怖かった。
「うむ、ティナの成長を見せてくれ」
「仰せのままに!…サァ、かかれ!!」
ケフカ様が腕を派手に振るうと今までピクリともしなかったティナが魔導アーマーの群れの真ん中へ移動していく、生身の少女が片手に細身の剣ひとつだけを持って。