第4章 恐怖の色
「……!」
「まあいい、先に支度をすませるか」
……夢と現実の境は何時だって曖昧だ。夢見の悪さからか、寝ぼけているのか、上手く働かない頭で考える。生々しい、夢だった。研究所の一件もあったし剣をもつ訓練があったからだろうか……?あれからときおり魔法で眠りについていた。……とはいえ、うなされたのは初めてだ。
ケフカ様がティナにいつものように服を着せて支度をしている。私はぼんやりとした嫌な感覚を振り払い、ゆっくり身を起こした。
「やっとお目覚めですかァ?お前も早く支度しろ、皇帝に謁見しに行くのですから身綺麗になさい」
謁見?よく見てみればなんだか様子が変だ。ティナはいつもより遥かに動きやすい服を着させられており、しかも額にはあの輪がついている。
「……はい」
あの輪は不完全な筈では?何故またティナのいやがる事を……。ティナはぼんやりとした顔であらぬ方を見ていた。まるで人形だ。
「ティナ……?おはよう」
「……、…おはよう。」
完全に操られている訳ではないのか……?少なくとも思考は出来るようだ。朗らかな普段と違い表情は相変わらずないものの、視界が私を捉えている。藍色の和いだ眼差しが私を映している。