第3章 訓練
「……眠れなくて、」
それは文字通りの意味だった。しかしティナは身を起こし心配からか表情を曇らせる、この子はとても悟い。もしかしたら自分よりずっと大人なんじゃないかと思ってしまうくらい。
「いっしょにねよう?ね。」
「ありがとうティナ……でもね、私は眠る事が出来ないんだ」
「ねむれない?……まほう、でも?」
魔法で?それは考えた事がなかった。でも攻撃ばかり見てきた私にはなんとも腑に落ちない話だった、眠らせる魔法だなんて。そりゃあ本当にあるなら私にとって幸せの魔法だろう。
死体の分際なので少し躊躇われたが促されるまま隣へ寝転ぶ、ティナが笑みを浮かべて私の頬や頭を小さな手で撫でた。
「め、つぶって。」
目を閉じる。ティナが私の頭を撫でながら小さくスリプルと囁いた、意識がぼやけていく……。ありがとう、と言えたか言えなかったか……その最中に私は意識を手放した。