第3章 訓練
「なんです」
「ティナが言っていた“ここはおうちじゃない”って……。赤ん坊の頃でも覚えているものなんですか、自分の家の事を?もしかして……」
「……覚えているから言うんでしょう」
「じゃあ、」
ケフカ様が立ち止まり、此方をひたと見据える。その目には怒りも悲しみも見えない。ただ、静かな面持ちだった。いや、静かとは落ち着きを指すのだとしたらこの暗く沈んだ引きずり込まれそうな眼差しはなんだろう。
「質問は、1つの約束でしょう?」
聞くな、と?それとも言いたくないのか……?あのケフカ様に限ってそれはないだろう、相手がなんであれ歯牙にもかけない人だ。ただ思いつきで質問を遮って反応を見ているだけ……というにはどうにも釈然としないのは、関わりすぎてしまったからだろうか。
ケフカ様にとってのティナとはなんなのか。娘?愛玩人形?戦争の道具?どれもしっくりこない。その時々でまるで別人のように振る舞いが変わる、なにが本心なのか分からない……。
考えている間にティナの部屋へとついた、やはりいつも監禁されているらしい。当たり前の如く施錠された音が聞こえた。