第3章 訓練
「レビテト!」
ティナが叫ぶと私の身体が宙に浮いた、いつもケフカ様が浮いている要領で。地面がトゲや波の様にうねってケフカ様の姿は見えない。ティナが鋭い視線を走らせる。彼女は戦いの時の方がなんだか生き生きして見えた、つまらなそうに脚を揺らしていた少女と同一人物には思えない。そうやってぼーっと眺めていると突然背後から忍び笑いがした。
「っ!!!ブリザド!」
慌てて振り向き様に私が放った一撃はいとも簡単に打ち砕かれた。弾けた氷が舞い、頬や腕を傷つけていく。
「しぇーっ!!バ!カ!の!一つ覚えですかァ?」
「ぐ、ぁ……ッ!」
蹴り飛ばされ固い地面に叩きつけられる。追い討ちをしかけようとしたケフカ様の背後に少女が立った。
「エア、「サイレス!」
ケフカ様の詠唱の声が消え、ティナは間髪入れず続けざまにメルトンを叩き込む。それを避けたケフカ様のカウンターに脚が宙を薙いだ。ジャリッ……、と荒れたフィールドの砂を踏む。
ティナは受け身からヒラリと一回転をし立ち上がった。間合いを気にしながらじりじりと睨み合う。その洗練された闘いはまるでエンターテイメントかの様だ。私は蚊帳の外だった、やはり住む世界が違う。彼等は魔導兵、私はただのゾンビ。当たり前の話だろうけれど。