第2章 おままごと
あの朝食は形だけなのか……?セリス様も食べていなかったし。
「024、お前はどれにするんだ?食べられるんでしょう?」
「えっと……じゃあこれを」
パッと目に入ったチーズクラッカーをつまむ。サクサクする食感もあまりに懐かしく不思議な気持ちになる。ケフカ様はそれを一瞥するとベッドに横たわり素手のままでケーキを掴んだ。
「形式ばった食事なんて反吐がでる。……お前もそうデショ?」
「おしゃべりないのは、やかなぁ」
よしよしと頭を撫でられているティナの手や頬はいまやクリームとソースに塗れている。ケフカ様は自らの手のクリームを舐め次は何を食べようかと再び物色しだした。
私はたまに思い出したようにクラッカーをつまみながら辺りを眺める。ケフカ様の私室と思しき部屋はスイーツだけではない甘ったるい香が漂っていて、天蓋ベッドは燃えるような赤、扉付近は群青、ベッドに向かうにつれて金や緑を含み夕焼けに照らされる夜空のような色合いをする。高級そうな気配を醸し出していた。