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魔導人形

第2章 おままごと


「は、…むぐっ!?」

呼ばれてそちらを向けば口に何かが突っ込まれる。ケフカ様の指が銀のフォークを支え私の口に続くのが見える。フワリと香草焼きの味が広がった。ケフカ様が観察する中、緊張を覚えながらたどたどしく咀嚼し飲み込んだ。確認するやフォークが引き抜かれ、勢いに唇が切れたのが分かった。ハーブの後味を鉄臭さが汚していく。

「……さて、戻りましょうかねェ」

ケフカ様に続き慌てて立ち上がる。配膳係がやはり群がりテーブルを忙しなく片付ける、その様は働き蟻を思わせた。扉が後ろ手に閉められてティナがケフカ様に飛びつく。

「ねえっ!プディングおいしかった!」

「プディングぅ?それなら出る気がするなぁ」

話を流し聞きながら食事前とは違う道だな、などと考えていた。一体何処へ向かっているのか。
一つの豪華な(悪趣味な、といった方が語弊がない)扉の前でケフカ様が立ち止まる。なるほど、誰の部屋か納得がいく。開かれた扉から色とりどりの天幕が垂れているのが目に入った。

「あれ、」

部屋に入るや銀のワゴンに乗せられた料理が目に入った。彩り鮮やかな軽食が並んでいる。

「プディングない~!」

「残念でしたァ、コッチも美味しいですよぉ?」

ケフカ様がケーキのクリームを指ですくい口へと運ぶ。
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