第2章 おままごと
慌てて料理長が部屋を出ていく後姿に、
「食器も足りませんからねェ〜!」
と追い立てるようにケフカ様の声と嘲笑が響く。レオ様は呆れたように視線を食事へと戻した。やがて私の席が用意され料理長に小さく会釈する。
ここからが地獄だった、この朝食の席に会話は全く無かった。ただティナがたまに美味しいね、とか、あれ食べたいとか、その声だけが響く。すると壁際に控えていた配膳係が大皿からティナの皿へ料理を盛る。
私が食べられる仕組みをしていたとして、正直食欲がわかなかった。事実、レオ様は無言のまま何かしら食べてはいるがセリス様はたまに水を口に運ぶ程度だ。ケフカ様もたまに気が向いたように皿にとってつつきはするが口には運ばない。
ティナは食べたいように食べ、たまに何かを話しかけているが誰も言葉を返さなかった。それが暗黙のルールかのように。
やがてレオ様が席を立った。
「先に失礼させてもらう」
「……では私も仕事に戻ります」
それを合図にしたかのようにセリス様も立ち上がる。2人が部屋を出ると配膳係が机に群がり食器を片付けていく。ティナがバイバイと手を振って退屈そうに足を揺らした。
「024」