第9章 瓦解
有限だから奪い合い、失われるから恐ろしくなる。そうか。それはそうだ。そうなのか。皇帝も皇帝の座が有限だから、ティナも生きる時間が有限だから。だから勝手なことをするのか、俺様がこんなに無に至るまでを遅らせてやろうとしているのに!
「お前……、やっぱり面白いですねぇ!」
「えっ、ケフカ様……?」
「全部破壊だ、破壊してやる。そして俺様のものにする、全てを」
024が当惑し何か言い淀む、もう言葉も必要ない。024を抱きしめる。変質するからいかんのだ。全部変わらなければ良い、生まれなければ良い。そして死ななければ良い。
ティナは変えようとしている、許さない。それは今が死ぬということだ。
アイツは俺の理想を、破壊を、意味を壊そうとしている───!!
そいつを破壊だ!変わらなければ良いのだ!変わりようが、なくなれば良いのだ!
「クヒャヒャ……!
そうだ、変わらなければ良いのだ!なぜ分からなかったのか」
「ま、まさか本当に不死身にでもなるんですか……?」
「……俺様にできないことがあるとお思いですかァ?」
三闘神、幻獣、変わらないものが存在しているじゃないか。この世界が破壊されて再生をしてもなお、奴らは存在する。