第9章 瓦解
「必要だから意味があるんです、私には必要な約束なんですよ」
024は抱きしめたままそう囁いた。命、夢、希望、全て得体がしれない上にそんな幻はすぐに消えてしまう。価値がなく、世界から必要性がないからだ。俺もまた破壊の価値がなくなれば力が飽和し消えていくだけだ。
024の考える必要性がどういったものであれ、俺はいずれ無に還る。それは近い。そこにお前の自由などあるものか。
「どうせ全部なくなっちゃうのに、バカな女ですねえ」
「その時には私もいないから良いんです」
なにがいいものか。何も残らず何の意味もない。今ここに俺が恐ろしくなる程の意味があるのに、消えてしまうのは変わらない。今壊しても同じことではないから意味があるのに。
「何もよくない」
「ケフカ様は欲張りですね」
「ほぉ〜、僕ちんがですか?こんなにも無欲なのに?」
「ケフカ様が死なない理由が今あれば私は安心する話をしているのに、全部なくなるなら意味ないって言うんですもん。
私もケフカ様も不死身にでもならないなら無理ですよ、違います?」
……不死身にでもならないなら?わたしは死ななければならないからこう感じるだけで、不死身ならそうは感じないのか?