第9章 瓦解
「ケフカ様の死は私のものですよ」
またおかしなことを言い出すので俺は思考が止まる。どういう意味だろうかと考えあぐね、024を眺めた。本人が立ち上がると魔法の日だまりから外れ、本来の闇に表情がとける。
「ケフカ様が私を壊す時、それは世界が要らなくなってからです。だって私は最後に壊してくれるんですよね?
だから、ケフカ様の死は私のものなので誰にも渡しません」
ぬう、と暗闇から光の中へ顔を差し込んで目の前に現れる。クスッと笑うとそのまま抱きしめられた。ああ、また、殺せない理由が増えてしまった。意味のある破壊は俺が破壊する価値を奪う。
「バカなことを。わたしはわたしのものですよ」
「はい、私のものにならないで下さいね。でも、最後は私にくれる約束です」
「お前は……自分がどれだけおかしな話をしてるか分かってるんですか?毎度毎度」
死に意味など無い。わたしが死ねばそれは、自分から全てが消えるということだ。誰のもの云々以前にそこにわたしはいない。筈だ。