第9章 瓦解
「魔導は増えも減りもしない、宿るか宿らないかだ。ティナは人間の器に幻獣としての魔導を宿しているのだ、だから魔導士とも違う。
魔の導べに感化され劣化した魔導の種を分けられた者が魔導士、魔導を人間にねじ込んで作られる。子を成せば種の株を分ける事は可能だが魔導はより薄まる。お前は言うなれば株分けをできないし生み出さない、ただ魔力を伝搬する器なのだ」
「器……」
「だからお前の魔導を別の物に入れ替えようと出来ているのだ、結びついていない物だからな」
魔導士の魔力は人間の元からある魔力ではない。魔導の種から生み出され元来の魔力と混じり合う。幻獣は力そのものであり、人と違い枠を持たない為に力が飽和すれば爆発する。
肉体という枠をもつ人間にそれを入れればどうなるか、力が疼き肉体を破壊していくのだ。ゆっくりと。
024は自らが力を得てすぐ"暴走"した、つまり、器の許容量は大きくない。生命活動が全て魔力依存とはいえ、消費は微々たるもの。やがて俺のように内側からの破壊を感じるようになる筈だ。
「お前は僕ちんのものだ。僕も、僕のものだ……」
「……ケフカ様?」
俺だけが壊れてお前が失われて何かに完成するのも、俺だけが残りお前が壊れていくのも。何もかも失うことに代わりはないのに。