第9章 瓦解
「来るな……!!」
自分でもそれは本当に滑稽なほど怯えた声だった。それにハッとして状況が突然頭に流れ込んでくる。そう、きっと俺はお前を殺す夢を見た。ただそれだけだ。
024の手が俺を確かめるように触れ、撫でた。目をつぶってそれに耐える。その1つ1つに何かを責められているような気がして息がつまる思いがした。
「大丈夫ですよ」
「大丈夫なものか……!」
「……」
024がかつて見た俺の腕を治した時のように光を集めだす。夜陰を切り開くように目の前に姿を表したその顔に怒りや情けはなかった。ふと、憑き物が落ちていくように腹の底を爛れさせていた感覚が抜けていく。
「大丈夫です、私もケフカ様もここに居ますから」
「……お前も消えるくせに」
「私を消すのはケフカ様なので、ここに居るなら消えませんよ」
それはそうだ。そうなのだが、何故あんな夢を見た後にそれに納得がいくのか分からなかった。先程まであんなにも殺したくて吐くほど苦痛なことが、死んでいなかったというだけで……。