第9章 瓦解
抱かれながら眠るのはきっと久々なのだろう。私からすればまるで数日前のように新しい記憶なのに、ケフカ様にとっては遠い昔の事なのかもしれない。
目を閉じると赤くザワザワとさざめく魔力がある。一瞬たりとも落ち着く事はなく、暴れたがるように波打ち時々弾ける。私にはそれがどうしても不安や恐怖に見えた。
暗がりの中、そっとすりつく。寒いような気がする、温度なんて分からないのに。ケフカ様が身動ぎをしてゆっくりと頭を撫でられた。まるでおざなりなそれを感じながら、それでもどこか安堵する。
まだケフカ様は死なない、私には意味がある。でもいつか本当に全てがどうでもよくなってしまって、この手すらなくなって、そうしたら全部見届けた私を最後に壊してくれると約束した。まだ私は壊されていない、ケフカ様も……死なない。きっと。
─────────…………