第9章 瓦解
皇帝を含んだ会議があり、視線が刺さるのを感じながらやりすごす。確か皇帝はシドさんのように魔法そのものよりも幻獣のパワーを求めているらしい。ティナを失った今、私は何に見えているのだろう。ただのアンデッドなのに。
それからも痛い程に注目を浴び続け、船に乗る段階になりケフカ様と同室に押し込められてようやく息をついた。
「見慣れないお前がセリスやティナの代わりに居るものだから物珍しいんだろうね」
「私……、魔導戦士みたいに強くないのに」
ケフカ様が小首をかしげた。首元が痺れるように冷たくなりチョーカーが存在を主張する。腹の底から魔力が引っ張り出される感覚に驚いてケフカ様をみるもどこ吹く風だ。
「俺を瀕死にするほどの魔力暴走ができるのに、強くない……?」
肌がザワザワと粟立ち、自らでは抑えられない魔力の暴力に思わず自分を抱いた。するとまるで怯えて抱いた手を責めるように、でなければ本性は魔物だと暴くように虹色の結晶が肌を食い破る。
「ご、ごめんなさい……」
「………お前は暴走をコントロールできない、俺とは違って。僕ちんがやってあげますからね」
子供にでもするように頭を撫でられる。