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魔導人形

第9章 瓦解


へたり込み額を床に押し付けるケフカ様を呆然と抱いた。一体どうしてこんな風に。最後に見たケフカ様は機嫌は悪かったがここまでは……。やがて震えながらケフカ様が啜り泣きだし、全身が凍りついた。もう、きっと駄目なのだ。

今までのように私に"納得"も求めようとはしなかった、絶望がそこにあった。まだケフカ様の中に私は残っているのだろうか、何をしてあげられるのだろうか。ケフカ様が崩れて無くなってしまうような不安にキツく抱きしめる事しかできなかった。




ややあって打ちひしがれるのを止め、ケフカ様は抜け殻のように生気のない顔で起き上がる。何も言えずに見上げていると手首を掴み引っ張り上げられた。されるがまま立ち上がる。

「支度を」

「……はい」

恐る恐る発した返事に反応はなかった。出られることを楽しみにしていた筈なのに生きた心地がしない。ここに居るのにずっと遠い。私がいない間に遠くに行ってしまった。
その危うさは初めてティナを見た日の夜を思い出す姿だった。朝日は登る、月は還る。それがいくつ積み重なってこうなったのか。もう、私の存在に意味はないのだろうか。
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