第9章 瓦解
ケフカ様がおかしい。息が続く限り何事か聞き取れない事を喚き散らし、肩からビーカーにぶつかって怒りをぶちまける。
「け、ケフカ様……っ」
流石に宥めなければ、と手を伸ばすも振り払われ、憎悪の眼差しがコチラを貫く。
「お前!!お前も!そんな目で俺を見るのかァーッ!!!」
声の限りの叫び声だった。怒りの底に悲痛な何かを感じて咄嗟に抱きしめる。髪が引っ張られ、ぶちぶちと抜けるのを感じた。
「ケフカ様!!ケフカ様!!!」
「離せ!!離せーッ!!!」
子供が駄々をこねて反っくり返るように体が強張るのが分かる。大の男を抱えて抑え込むのは至難の業だった。しばらく取っ組み合いが続き、やがて床に打ち捨てられた。その背を追うように何度も蹴りつけられ、耐える。
「はあ……ッ、はあ……!お前も、俺を……!」
「………」
ケフカ様を見上げる。どうしてこんなに追い詰められているの……?ティナに何があったのか、施術が終わらないうちに怯えていたドマに私を連れて行くなんて何故。
「……ッ、俺を見るな」
絞り出すように続いた言葉はやはりただの怒りではなかった。