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魔導人形

第9章 瓦解


それは唐突な覚醒だった。目覚めとは違う、意識はずっとあった筈なのに思考が突然もどったような。顔をあげるとケフカ様が居た。手を伸ばすとガラスに遮られる。

視界がよくない、水に油を撒いたような鈍い虹色が満ちている。ふと、腕の中に何かを抱えていることに気がついた。丸い宝玉のようなそれを撫でると激しい痛みが走った。背骨から脳天を突き破るようなそれに呻き縮こまる。

「よくないですね」

ケフカ様の目にある怒りしか分からない。思考が再びぼやけていく。待って。腕を伸ばすも、やはり意識は途切れた。




意識がない、という状態は自覚ができなかった。そこに目覚めているのに。再び虚ろな表情に戻った024を憎々しげに睨むケフカだけが残された。
近くの機材が魔力のこもった蹴りの一撃を受けて粉々になる、高笑いをしながらガラスに拳を叩きつけた。



「───つまらん」

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