第2章 おままごと
「あさひ は のぼる。つきは かえる。どこからきて、どこへいく?おなじことにいみは?」
「……どうだろうね」
たどたどしい言葉、太陽ではなく朝陽とは。言葉の真意を掴めず閉口する。意味がある、と答えるのは簡単だ。だけど私にはその"意味"を説明出来ないだろう、私個人が見る意味が問いの答えだと思えなかった。それだけの重い響きがあった。
ティナはつまらなそうに窓の外へ視線を移す、そこには陽が差し込んでいた。正しいか正しくないかなど些細なことだと思わせる輝き。
「月は美しい、それに太陽は私たちを照らしてくれる。……必要だから、意味がある……んじゃないかな。自信はないけど」
言っておいて恥ずかしくなり笑って誤魔化す。ティナは驚いたように暫し固まっていたが、やがて朗らかに笑った。
「そのこたえ はじめて。でも、きっとせいかい」
「だといいなぁ、」
「だといいね。」
ティナは表情を明るくした、一体どんな意味があったんだろう。同じ繰り返しの日々、きっとその意味は神のみぞ知る。でも一人一人に答えがあり、残酷でも不安でも世界は美しい。私の無色な世界に意味という色をつけたあの人のように。鮮烈に。