第8章 独占欲
その日のうちに調査報告があった、大陸の端まで到達したらしい。端にある村の人間はほとんどが口を閉ざしていたが子供たちが魔法の逸話を口にしていた、という知らせだった。
「ふむ、サマサですか。文献から言ってその辺りでしょうねえ」
ふとケフカ様が何のための調査に派遣されていたかを思い出す。幻獣ゆかりの地を探す……、表向きであれば地図作りだがシドさんの話を考えれば……。
「……俺の見立てでは、封魔壁ではないなら幻獣が封印されている事はほぼない。あるとしたら人間が黙ってなかっただろう、当時の魔導士は迫害され村を焼かれたらしいからな。
しかし封魔壁のようにお前にしか見えない物がある可能性もある」
ケフカ様はブツブツとまるで自分に言い聞かせるようにしながら私の首にある輪をなぞる。そういえば前にケフカ様の怒りにティナが呼応していたのを思い出す。だとすれば納得しているのに腹の底が焼けるこの感覚は、今まさにケフカ様が輪と呼応する感覚をもっているのだろうか。
「行きましょう、ケフカ様。今しか分からないかもしれませんから」
輪に触れた手に手を重ねる。今しか。この後また私は死体に戻るのだから。ケフカ様が納得しきっていない事だけでも私は構わなかった。