第8章 独占欲
「指、痕になってしまいますよ」
「怪我なら魔法で治る、時間は戻りませんが」
意固地だ。ベッドから降りると隣に立つ。紙面には真ん中に簡素な輪が描かれ、囲むように魔法陣がある。魔法陣のあらゆる場所に神経質な斜め上がりの文字が走り、それはメモなのか計算なのか私には分からない。
作りかけの輪に手をやるとケフカ様の視線がふと自分にうつった。見つめ合う形になる。おもむろに掴んだままの手を導かれ、輪がケフカ様の頭にのった。ぞわり、とした感触。思わず手を引っ込めると薄く笑われる。
「お前……、やっぱり面白いですね」
「どうして、ですか……?」
ケフカ様は答えずに私の手をとる。やはり背中を寒気のようなものが這い上がる。不快感をねじ伏せようと顔を歪めた、手が震える。
「この輪はね、操りの輪などではないんですよ。本当は」
「え……?」