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魔導人形

第8章 独占欲


目を瞑ると真っ赤な魔力が燃えるように在る、今は珍しく猛ってはいない。これまでの数年で沢山の魔力のパターンを見てきた、赤さは怒りや攻撃や某かの強い意欲……衝動の色だ。

魔力は固有の色をしていたりティナのように強い感情の二面性があればパターンをいくつかもつ、ケフカ様は死にかけても怒っても情があっても真っ赤な色をしていた。
それは常に怒りと憎しみに苛まれているからだ、と思っていた節がある。しかし実際にはそうではなかった、火のような人なのだ。心の底から。

弱れば消えかけの炭のように赤黒く微かな輝きになり、穏やかであれば魔力が落ち着いていて形がまろくなる。今、彼は穏やかで……恐らく満たされている。
……その珍しい状態なのが自分由来だという感覚は先程からある虚しさを僅かに潤してくれた。消えないもの、彼の生命に私という意味があること……。

彼は身体の繋がりのない人間からは一生誤解されるだろう、愛や情をもたないと。部下やティナ、セリス様、シドさん……みんな私より近いのにきっとそう思っている。
精神の均衡を失って情や正常な思考を壊してしまったのだと。

せめて魔力が私のように感じられれば、この穏やかな光が片鱗を語ってくれるのだが……それもない。
ケフカ様は誰にも理解も受容もされない情を度々他者に向けては後悔している、特にティナやセリス様だ。おかげでティナと情を交わせる私への嫉妬の態度をみて嫌われてるんだとばかり思っていたくらいには。

私だけが氷山の一角を理解している、優越感よりも寂しさや哀しみがある。もっと彼が世界に愛されてほしい、無茶な事ではあるだろうけど。それで、もっと安心した気持ちで私を理解してほしい。
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