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魔導人形

第8章 独占欲


「分からないだろ?見ずに手で何か感じるか?」

「え、えっと……鼓動がありますね……」

「フン、そうだな。……そのまま見ずに集中してろ」

再び口付けられ、びくりと手を放しそうになるも上から掴まれ押し付けられている。ややあって言われた意味がゆっくりと感覚に繋がりだした。

鼓動に呼応するように魔力が息づいているのが分かる、まるでもう少し肉体に溶け込めば掴めそうな錯覚すらある。私が鎖骨へ指を動かすと何か感じ取ったのかケフカ様の手が離れた。
魔力の鼓動が脈打つ度にどこにそれが送られているか、首筋を撫でると血のように流れていくのが分かる。……頭だ、今この魔力は心臓から頭に向かって移動しているんだ。

”感情に魔力を乗せる”……だとすれば今ケフカ様の感情が思考に全集中して使われているのだろうか。しりたい。ゆるく頬を包み撫で上げ髪を乱すように指を絡める。と、ケフカ様の手の平も自分の頬に宛てがわれたのを感じた。
口付けがふかまり魔力に乗せられた感情が流れ込んでくる、溺れそうなそれを必死で飲み下す。境がなくなって自分の感情なのか相手のものなのか見失いそうになり、息が続かず唇が微かに離れ喘ぐ。それもまたすぐ飲み込まれた。散々口内をねぶられようやく唇が離れていく。

「分かったろ……」

それの意味する事がどれか分からずに、しかしもはや熱で浮かされた顔のまま言葉もなく頷く事しか出来なかった。
目の前にある口が弧を描く、どれかは分からないが大概分からせられた気がする。
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