第8章 独占欲
「どうせ構われたいなら中のやつを探す練習に付き合ってもらいましょうか」
「!」
昨日のことを思い出し身体が強張る。それは、つまり、またキスされるのだろうか。そもそもあれでなぜ探知出来るのか分からない!別に必要ない気がするのに。掌が頬を抑え、顔がにわかに近づいてくる。思わず腕をつっぱねるも片手で両手首をまとめあげられ抵抗虚しく口付けられた。
こんな事をしながら魔力を操作する余裕があるなんて、やはり何とも感じないのだろうか……と少し恨めしくなる。
「……んん!」
手の平が首から肩へ、脇から腿へと形を確かめるように降りていく。驚き身動いだものの、拘束された腕を引かれ抵抗は許されない。息継ぎに唇が離れたのをキッカケに顔を背ける。
「こっ、これ……必要ですか」
「ああ」
「どう……必要なんですか」
息を乱したまま訊ねるとケフカ様がニヤニヤしながらこちらを眺めた。手首が開放され、手持ち無沙汰なその手を肩に添える。
「お前もやれば分かる」
ぐい、と手を捕まれ胸に押し当てられる。鼓動がある。訳が分からずに表情を伺った。
「気は腹の底から練るものだが俺は一々それを感じない、ここを一番使う。感情に魔力を乗せるのが一番強くて簡単だからな。
お前には感覚で視えるんだろう力の流れを……接地とでも言うか、俺自身の肉体を媒介させて感じ取っていた。まあ、普通はほとんど分からない」