第8章 独占欲
「……!」
『君、もしや私が見えているのか?』
私の魔力を辿った意識の根元が虹色にさざめき、そこに浅黒い肌をした青年があぐらをかいて座っていた。周りでは見かけない異国風の白装束をまとい口元は見えない。
何という事はない、ただ手を伸ばした時だった。
「024!!!」
「ッ、う……?あれ……」
ケフカ様が神経質な声を上げ私の肩を揺さぶっていた。何を大袈裟な、と笑おうとするも既にベッドに運ばれており意識が暫く無かった事が伺えゾッとする。
「あ……、わ、私……?まさか意識が……?」
「ああ。やはりソイツがお前の体を奪おうとしているとしか思えない……!」
ケフカ様の輪郭が陽炎のように揺らめき赤く滲む。強い怒りに魔力のコントロールを失っているのだ。自分の恐怖から、そして相手を宥めるためにも抱きしめる。チリチリと攻撃的な魔力が肌を焼いていたが、しばらくあって内側に鎮まっていく。
「消えたくないです……」
「許しませんよ、消えるなんて」
吐き捨てるように言葉を紡ぎ、きつく抱かれる。私は死んでから初めて“意識の死”という恐怖を感じ身を震わせた。