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魔導人形

第8章 独占欲


東の大陸2日目、ケフカ様の態度のあまりの変わり様に兵の好奇の眼差しが注がれていた。前日までのモンスターとの戦闘を切り上げ兵力をさらに分散、ほとんどを探索にまわし残る少数の兵と自らは船に切り上げると言い出したのだ。
その指示を出す間も私は後ろから抱え込まれており、あまりにベッタリとした態度に何かあったのだろうという視線を投げられている。まあ夜中の怒声もあったので全く知られていない事はないだろう。

「良いんですか?魔法は」

「良い」

食い気味に返されたそれに顔をそむけて微かに笑う。移動中も手首を掴まれたままだ。あの騒がしい上官が珍しく静かなので皆コソコソ耳打ちはするものの、会話も出来ずに静かな進軍が続いた。
船に辿り着くと交代の警備以外は自由行動だとつげられ、兵たちは色めき立った。まあ、ケフカ様が兵に構う時間を可能な限り減らしたかったせいだろう。
船にある私室にそうそうに引っ込んだケフカ様は私に向き直り、上から下までジロジロと眺めた。

「お前、魔力が見えますよね?中に居るものも分かりますか」

「……どうでしょう?」

目をつぶり魔力を感じてみる。声が聞こえる前よりずっと感覚が研ぎ澄まされている気がした。外をぼやかすように意識を薄くし、内へと沈んでいく。
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