第7章 魔性
「つくづく想像の範疇を出ないつまらん男だ」
ケフカ様が冷笑し、たかが小話というように戯けた様子で手を広げた。パチリ、とそれが合わさって火からコチラへ視線を投げる。
「それでお前は?なぜ連れて来られたと思う」
「…………面白いから、ですかね。幻獣でもなく皇帝の命令でもなく、私でなければならない何かを試すつもりだったから……?」
ケフカ様は多少面食らって顎を撫でた。それからぐるりと宙に目を走らせ、私の頭に手をやった。顔が近づいてくる。魔力と焚き火の灯りを受けて氷のような眼の底が燃えている、思わず視線を伏せると額の辺りでボソボソと声がした。
「お前はときどき模範解答ではないまるで違う話をして妙に的をついてくる」
「模範解答は、教えて頂けるんですか……」
「つまらんから教えん」
手がパッと離され後ろに体が揺れる。無意識に体を引いていたらしい、と気がつきケフカ様を伺い見るも気にした様子はない。
「……“私でなければならない”のは、声が聞こえるのと関係あるんですか」
「何?声だと、今か?」
「いえ……、ここに来てから初めてで知らない魔法を使う前にだけ聞こえてきます」