第7章 魔性
「何をお前に言ってくる?」
「魔法の使い方を……一度目は教えてやる、と声がしてアクアブレスが何たるか、何を見て確かめるかを。教えてやるとは言いますが感覚的で一瞬操られるかのような……。
二度目はケフカ様に回復を施した時に、できる筈だと囁いてきました」
ケフカ様が表情を険しくすると私の頬を両手で掴み、睨むようにコチラを見た。思わずビクっと肩がはねたが意にも介さないように私の頬を潰している。ぐにゃ、と脳髄が圧迫されるような感覚があり鈍痛が走った。どうやら目の前にいるケフカ様の仕業らしい、圧迫感がどんどん増して息が詰まり短く息をつく。
「よく分からん」
「な、にがですか……?」
ガチ、と歯が当たり痛みに眉をひそめる。しかし激しい頭痛の最中でも流石に口付けられていると分かり、思わず掴まれた手を握る。ますます、息が……。
痛みの中心に確かに疼く快感がある、暖かさなど分からない筈なのに熱い、痛みか快楽か熱なのかもはや区別がつかない。曖昧に脳が煮詰まっていく。
「ッ、はぁ!……っは……!」
「居る」
「……えっ、?」
「中にお前じゃないものが在る。いつからだ」
憎悪、猜疑心、恐怖、怒り、それらを全部合わせて濃縮したような眼差しがあった。