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魔導人形

第7章 魔性


ふ、と視線を感じて顔を上げると炎の赤色に阻まれ気が付かなかった色があった。こちらがケフカ様に気がつくと焚き火を挟んだ向こうから片眉を上げる。指先で受話器を示し声を出さずにシ、ド、と口を動かす。
ケフカ様が顎に手をやると嘲笑を浮かべた。

「そうか、ではまだ上陸地点からはさほど───……」

「こんな夜中にラブコールとは、さぞかし仕事が捗ってるご様子ですねえ」

取り上げられた受話器からはもはや何事かを早口でまくしたてるくぐもった音しか聞き取れなかった。
片手で焚き火から燃える枝を抜き取ると何度も宙に投げては手に受ける、ぼんやりと器用な人だなぁと眺めた。何度目かの後、飽きたように乱暴に焚き火に枝を投げつけると暗い夜空に火の粉がチラチラと舞った。

「間抜けのお前と違い皇帝からの命で忙しいのだ、帰還するまで報告など要らん!ただし、ビタ一文も研究が進んでないならオシオキを検討しなきゃならないですねえ。そのつもりで励んでください」

ケフカ様は一方的に通話を遮断した、電話線を引きちぎって。ご丁寧にリボン結びにし火に放る、嫌な臭いが立ち込めた。

「何をお話してたんです、アレと」

「……訝しんでました、幻獣縁の地にティナを置いて私を連れて来た事を」
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