第7章 魔性
「わざわざティナを置いて君を連れて行った、……知っていると思っていたよ」
最後の言葉には明らかな含みがあった。ケフカ様の話を思い出して背筋が寒くなる、しかし同時に思う。本当に利用しているのはケフカ様なのでは……?シドさんに技術や利益を奪われたくないから心象を悪くするような事を言ったのでは、と。
だとしたらティナではなく私を連れてきたのは……、いや、そんな事はない。今日のケフカ様を思い出せば一目瞭然だ、わざわざ片腕を使えなくしてまで“幻獣の捜索”ではなく私の戦闘技術を向上させるのを優先した。土地の捜索には参加もせずに。
「では……、噂にしか過ぎないのでは?一人でも魔導兵が多い方が効率的な気がしますし、今日は魔物と遊んでらっしゃるようにしか見えませんでしたよ」
「遊ぶ、とは!ハッハッハ!そうか、ということは君たちは獣ヶ原辺りに居るのかな。あそこは多彩な魔法生物がいていくらでも出会すからね。地図はあるかな、位置の報告が欲しい」
電話を繋いだまま地図に目を通す。ふ、とある土地の名に目を引かれた。“ドマ”。ドマ……?確かに聞いたことがある、そうだ……夢の中であの人が行くと言っていた土地だ。
「……博士、ドマとは戦争になるんですか」
「ん?ああ……すぐにではないが、地図を作るくらいだからね」
国を落とす為に情報を練るくらいには、既に関係が危ういらしい。では……あの人と戦場で再会する可能性もあるのか。