第7章 魔性
……───その夜の事だった。
辺りは火の気も少なくなり地上の灯りの少なさから夜空が輝いていた。船と違い海に落ちることもない、眠りを必要としない私はぼんやりと星を眺めていた。
ケフカ様はというと眠らないならモンスターを倒しにいく、という話を突っぱね魔力の充填が必要な話をすると嘘のようにスンナリ納得し自分のテントに引っ込んでいる。
「あの、」
「……あ、はい!私ですか……?」
「すみません、おやすみの所───……
実はお電話が入ってるんです……ケフカ様に」
なるほど。“電話”というのは機械技師と経済力を保有する国の上流層にしか普及しておらず、それも決まった相手にしか繋がらないものだ。
しかし帝国の魔導電話は電力やヘルツを利用しない、想念により使われるものだ。後続に配属される補給担当の魔導アーマー、または魔導兵だけが持つものだ。
しかしケフカ様宛なのにわざわざ兵から……?
「どなたからですか?ケフカ様はとっくにお休みになられましたよ」
「それが……博士からでして、急を要するものではなく定期連絡かとは思うのですが」
“博士”……シドさんの事だろう、わざわざこの夜中に直接は繋がない。わざととしか思えなかった。普段の様子からするにあまり良く思われてないし、ケフカ様曰くシドさんはケフカ様に興味関心がない。