第7章 魔性
「さァーん!かッけェーい!」
脳天気な声が響き、芋虫が体液を吐き出しながら悶えると魔法の幾何学的な形のナニカが腹を引き裂いていく。ズタズタにされた中からデロデロのケフカ様が現れ、潮が退くように、水溜りが蒸発するように、自らの魔力が立ち消えていく。
「ケフカ様!だ、大丈夫ですか!」
「オヤァ?心配でもしたんですかァ?ぼくちんがこんな虫けらごときに、」
「あ、う、腕が……」
「……?」
ケフカ様が首を傾げ、不思議そうに自らの腕を眺める。確実に曲がらない方向に折れたそれは思ったように動かなかったらしく、そこでようやく自分が怪我をしたと気がついたようだ。額に手をあて、大袈裟にヤレヤレとばかりにため息を吐く。
「マ!そんなこともあります」
「そんな事じゃありません!!ど、どうしよう……!すみません、ごめんなさい……」
「アアー!もう、うるさいですねェ!痛くないんだから構いません!!」
虹色の結晶にまみれた腕でその手をとる、と身体の底から何かが囁く。『治したいのなら、分かる筈。感じろ、どうしたら治るのか』どうしたら……魔力?そうだ、ケアルみたいに魔力を集めたらきっと治る筈。でもそんな小さな魔法じゃ駄目だ……!
「……!お前、なんです……?何をしようとしてる……!?」