第7章 魔性
しばらくさ迷い、洞窟が見えてきた辺りだった。不意に地面に一本の不自然な影が降りる。
「───!」
背後に跳び下がると、その場にビシャリと泡立った水が叩きつけられた。宙に浮かぶそれは蛇か龍のように見える。コウモリのような飛膜の翼をもち、顎がつき出していた。
「ほう、まずはディオルベーダですか。ガンバッテクダサーイ」
ケフカ様の気の抜けた声を背に受け、兵も寄ろうとしない。ため息を一つつくと気持ちを切り替える。やらなければ。とはいってもどうしたら……、ひとまず与えられたブラッドソードを引き抜こうと手をかけた。
しかし剣がするりと手を抜けていく、目で追えばケフカ様の仕業らしく宙をすべるとその手に収まった。
「言っただろ、“魔法”で戦うんだ」
「もう!!」
文句の一つでも言いたいが敵は待ってはくれない。先ずはケフカ様を真似てみよう、うねった魔力が手に集まったあのカタチ……。己の魔力を練り固め、魔法として放つ。
腹の底を意識した瞬間、前に魔力が暴走した時に見た虹色の結晶がフラッシュバックしゾクリと寒気が走る。……な、なに?
『私が手伝おう、さあ』「えっ」
再び、今度こそ敵が魔法を放つ瞬間を見る。スローモーションのように、いや、そんなものではない。大気に広がる千々になった普段は感じない魔力の粒の1つ1つが教えてくれる、それがどんなもので何が起こるのか。