第1章 名探偵と私
乱歩のオムライスを作って、一緒に食べる間も乱歩をたくさんの話をした
新入社員の話の続き、今日解決した事件の話に新作の駄菓子の話、、
二人で話すときといっても、乱歩が一方的に話して、私はそれに時々相槌を打ちながら聞いていることがほとんどだ
それでも乱歩の話は面白いし、いつもあっという間に時間が過ぎてしまう
『僕、先にお風呂に入ってくるから』
「わかった」
気がつけば乱歩が来てからもう小一時間も経っていた
乱歩が風呂に入っている間に布団の準備でもしていようか
__泊まるってことは今夜も、する、ってことだよね
2人分の布団を敷きながら数時間後にここで行われるであろうコトを想像したら下腹部がうずいてしまいそうになる
すぐにこんな想像ばかりしてしまう自分が恥ずかしくて、ぴったりとくっついていた布団を少しだけ離した
『あがったよ。次入っておいで』
「うん、冷凍庫にアイス、あるから食べていいよ」
『んふふ~ありがと!!アイスアイス~~♪』
湯上がりの少し火照った乱歩の身体が直視できなくて、逃げるように私は風呂に向かう
ちょっと特別な日に使うと決めているお高めのシャンプーとリンスをして、湯船に浸かっていると、ご機嫌な乱歩の鼻唄が微かに聞こえてくる
前に乱歩の好きなアイスが売っているのを見て、次に家に来る時、喜んでくれるだろうかと思って買ったが、やはり満足そうだ
風呂から上がり、寝巻きに着替えていつでも寝られるよう整え、ほんの少しだけ化粧をしてリビングに戻った
「あがったよ~、あれ?乱歩?」
いつものようにリビングのソファを陣取ってゲームをしていると思ったのに、乱歩の姿が見当たらない
「乱歩ー?トイレかな…ひゃうッッ!?!」
いきなり首筋に何か冷たくて柔らかい感触がした
『ほんといい反応~~』
驚いて振り向いたら、後ろにニヤニヤと目を細めたた乱歩が立っていた
咄嗟に今何が起こったのか理解した
「いきなり後ろからキスしないでよね!アイス食べた後で唇冷たいし!!びっくりした!!」
『まあまあ』
いつもいつも乱歩にはこんな風にちょっかいを掛けられては私の反応を面白がられている
今日の店でもそうだった
「私もアイス食べる」
やや乱雑に冷凍庫からアイスを取り出して咥え、取られる前にソファに腰を下ろした