第1章 名探偵と私
「うーーん我ながら上出来じゃない??」
今日の仕事を終え、喫茶の近くの小さなアパートの一室である我が家に帰った私は、晩御飯にオムライスを作った
乱歩の好物である
それに、チキンライスだけ作っておけば後から乱歩が来ても卵を作ればすぐに出来立てを食べさせてあげられるだろう
先に自分の分を作ったが、ふわとろのオムライスは我ながら完璧だと思う
__虎探しか、、
そういえば最近、店の常連さんから人喰い虎が出たという噂を聞いた気がする
その虎を退治するのだろうか、名を聞くだけでも恐ろしいが乱歩は大丈夫だろうか
__乱歩、おそいな。
決まっていつも乱歩は見計らったかの様にご飯が出来る頃にやってくるから、いつも一緒に食べるのだがやはり今日はご飯が出来ても帰ってこない
少し、寂しい。
『たっだいまー!!!!』
乱歩が帰って来た
「おかえり、本当に遅かったね」
『いやー太宰のせいで本当に遅くなってしまったよ』
「虎退治をするっておじさんから聞いたけど大丈夫だったの?」
『あぁ、ちゃんとヨコハマは人喰い虎の恐怖から救われたよ』
「へえ、さすがだね」
『もちろん!!それに、面白いことになったしね』
「え??」
『武装探偵社に、新人くんが入った』
「え、?虎退治をしたんじゃないの?」
『そうだとも、人喰い虎改め、 中島敦くん が新人だ』
「ど、どういうこと??」
『虎は、異能で変化した少年だった』
「えぇ!!!そんな異能力があるんだ、大変だったんじゃない?」
『僕たちは何もしていないよ。太宰が1人で解決した』
「じゃあ、なんで呼び出されたの?」
『太宰が、虎少年を新入社員にしたいと言ってね、その為に服を用意したり採用試験の手はずを整えたりと色々とやっていたんだよ』
「そうだったんだ、おつかれさま」
『ところで、今日はオムライスでしょ??僕の分もはやく作ってくれよ、お腹が空いて僕はもう何も出来ない!!!』
「はいはい、仰せのままに笑」
乱歩が帰ってきた
乱歩がいるだけでいつも家の中が一気に賑やかになって、自然と口角が上がってしまうのが自分でも分かる