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タイトル募集中【文スト】【江戸川乱歩】

第1章 名探偵と私


何か他に考え事をしていないと、先刻の仕草から今までの情事のあれこれが強制的に脳裏に蘇ってきてしまう
それを振り払うためにも昔のことを思い出しながらせっせと店をまわしている間に、乱歩はパルフェを食べ終えて珈琲片手にマスターのおじさんと楽しそうに談笑していた

乱歩は超が100個付くような甘党のくせに、なぜだかこの店の珈琲は意外と飲む
本人に理由を尋ねてもなんだかよく分からなかったから考えるのはやめた

でも、おじさんの珈琲は本当に世界一だと思う
また休憩のときに頼んで淹れてもらおうか


なんて考えていると、乱歩が帰り支度を始めていた

『あ、そうだ瀬奈!!今日は帰りがきっと遅くなってしまうからご飯は先に食べててねー!』

「……」


言っておくが、私と乱歩の住まいは別だ
しかし乱歩は仕事終わりにこれまたほとんど毎日私の家に勝手に来て勝手にご飯を食べて、そして、、いや、その先は今思い出すことじゃない!!

ずっとそんな感じだから、私も夜ご飯はいつ乱歩が来てもいいように多めに作る

何だかんだで私も乱歩が来てくれるのを楽しみにしているのだ
本人に言ったら間違いなく調子に乗るから言えないけれど。


『それじゃーね!ごちそうさま~!!』

一方的に伝えて乱歩はそのまま店を後にしていった










「はああああ疲れた……」

「瀬奈ちゃんお疲れさま。はい、珈琲どうぞ」

「おじさんありがとうございます泣……おいしい」


客足が落ち着き休憩時間になると、おじさんが珈琲を淹れてくれた
疲れた身体に珈琲の薫りと温かさがしみる

「乱歩のやつ、いつも勝手にご飯食べにくるくせに一丁前に今日は帰るのが遅くなるから先食べててとか言って!ばか野郎!!」

「まあまあ、乱歩くんが言っていたんだけれど、今日の夜はきっと国木田君に調査員の多くが呼び出される仕事があるそうだよ」

「へえ~、そんな大きな仕事が??」

“きっと”ということはまた彼の異能の『超推理』によって予想した事なのだろう

私にはよく分からないけれど、乱歩も探偵社の1人として異能を持っているらしい
本人曰く 万物を見抜く世界最高の異能 なんだってさ

それにしても、調査員総出でかかる仕事とは一体どんなものなのだろう




「ああ、『虎退治』だそうだよ」


__え??虎?????
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