第4章 お試し期間
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その日の帰り道
いつものように手を繋いで、楽しく他愛もない話をしていたとき、
「あ、ねぇねぇちゃん」
と何か思い出したかのように及川が私を呼んだ
「ん?なに〜??」
「夏休み、たまたま部活が同じタイミングで終わった時でもいいから、ちゃんと会う時間が欲しいな〜って」
「うん?いいよ??」
「やった〜」
(部活がたまたま終わった時だけ、??)
「え!?」
いきなり驚いた声でこちらを見る及川
「え?」
「え!?いや、!ちゃん、いま、、
部活がたまたま終わった時だけ?って、、」
「えぇ!?」
思っていただけと思っていたことが、及川に伝わっていて、自分の口から出ていたのだと自覚するのに時間がかかる
「いやいやいやいや、!今言ってないから、!」
「いや、言ってたって、、!!」
「わたし言ってない、!!!」
恥ずかしすぎてなんとか言ってないことにしようと、否定し続けるが、
「じゃあ、俺が聞こえた言葉は間違い??」
と及川が、こちらをのぞきこんで聞いてくるもんだから、思わず「うっ、、」と躊躇う
(いやいやいやいや、まじで、!
こんな天然女子みたいなことある、!?
これもきっとあのモヤのせいだ、。)
「うぅ、、、」
悩むわたしをみて、耐えきれなかったのか「ぶっ、、」と及川が吹き出す
「なによ、、」
「ちゃんってほんっと、可愛いよね」
「及川、ばかにしてるでしょ、、」
「え、しんがーい、俺ちゃんと可愛いって思ってるし」
「バカ及川、バカ川、ばかわ」
「いや、三段階に略さなくていいからっ、!!」
「「ぶっ、、」」
堪らず2人一気に吹き出して、笑い合う
「今から、夏休みにいつ会うか決めない?」
そう切り出したのはわたし
「え?いいの?」
「もちろん、もっと及川のこと知りたい」
そう言うと、照れくさそうに、嬉しそうに及川が笑って
「じゃあ、呼び方、下の名前で呼んでよ」
という
「え、!?」
「知らない、、?」
「知ってる!!」
「じゃあなに、?」
黙るわたし