第4章 お試し期間
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(なんか、、私、及川のこと好きみたい、、?)
ふと思ったが、すぐにいやいやいや、と心の中で頭を横に振った
チラ、と横を見ると、すぐに私の視線に気づき、
「ん?」
と首を傾げている
「ううん、、なんでもないよ?」
「えーなになにー、気になる〜」
ニコニコで私の顔を覗き込む及川
「なーんか、ほんとのほんとにちょびっっとだけ
バイバイが寂しいなーって思っただけ、!」
恥ずかしい気持ちもあったが、切ない気持ちを自分の中に留めておくこともできず、伝えると
「、、ぇ、?」
目を見開いて固まる彼
ブワァぁぁと恥ずかしさが一気に広がった
「なんでもないぃ!忘れて、!!」
短い時間、2人の間を沈黙が包む
わたしにとってはすごく長時間に感じ、何の話をしよう、と少しパニックになっていると
「もう、、ほんとに、、勘弁して、、」
となにかボソッと及川が言うのが聞こえた
「、え?なに、、?」
はっきり聞こえなかった私は、及川に聞き返すが、返事は返ってこない
しばらく待っていると
「ごめん、ちゃん」
といきなり及川が私と繋いでる手を引く
「、え、!?」
ぽすん、とよくわからない状況になり、さらにパニックになったが、嗅いだことのある匂いがして少しずつ状況を掴んだ
(だ、、だきしめられてる、!?)
ぎゅ、と体が包まれて、トクン、トクンとリズムよく心臓の音が聞こえる
「お、いかわ、??」
「ちゃん、、」
「ん、?」
及川の落ち着いた声が右上から聞こえてきて、私は彼の腰に遠慮がちに腕を回す
「、ほんとに、、好きだよ、?」
「え、?」
少し抱きしめられる力が強くなって、もう一度「すき、」と聞こえた
「俺だけが、、まだ帰りたくないな、寂しいなって思ってるんだと思ってたから、、嬉しい」
彼の顔は見えない
でも、、
(私と、同じ顔してる気がする、、)
幸せという暖かい気持ちを充分に抱きしめて、次の日も会う約束もして名残惜しくバイバイした
急速に進んだ土日を終えて、いつも通りの学校とテストを迎える
夏休みまであと6日