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イケメン戦国 書き散らかした妄想

第12章 一日奥方1 【家康】R18


天主を出て、俺は何も言わずつかつかと廊下を歩く。

それを必死に追いかける名無し。

「待って‥‥」

「何でよりによって三成なんだ!」

俺は吐き捨てるように言った。

三成は、名無しを好いている、絶対に。

名無しと俺が祝言を挙げる前から。

そして今でも‥‥諦めてないだろう。

それを確信している。

「‥‥」

「あいつは大の大人なのに自分の身の回りの事すら自分でできないし‥‥!」

だから

優しい名無しは甲斐甲斐しく世話をするだろう。

「単純だし‥‥!」

だから

名無しの単なる優しさを勘違いして付け上がるに決まってる。

「無神経だし‥‥!」

だから

俺に遠慮することなく名無しに手を出すかも。

ごちゃごちゃと渦巻く俺の懸念は、当然名無しにはわからない。

「何もそこまで言わなくても‥‥」

罵る言葉だけを捉えて、思わず三成が可哀想になった様子。

それに俺は余計に苛立ってしまった。

早足で御殿へと急ぐ。

「待ってよ!」

そんな勝手な俺の背中を、名無しは必死に追いかけてくれた。




その夜、湯浴みを終えた名無しが寝室に入ってきた。

「遅い」

先に湯浴みをすませ夜着に着替えた俺は、盃の酒をぐっとあおり、あえて苛立ちを隠さず言った。

まさか、三成の為に、いつもより念入りに洗ってたんじゃ‥‥。

頭に嫌な妄想が浮かんで離れない。

「‥‥いつもと同じつもりだったけど…ごめんなさい‥‥」

名無しがしおらしく謝るので罪悪感を感じ、ほとほと自分が嫌になる。

「‥‥で、明日は行くの?」

「信長様の命令に背くわけには‥‥‥」

名無しがいつも俺の立場を一番に考えてる事はわかってる。

‥‥でも、行かないって言って欲しかった。

「三成に情が移るんじゃないの、あんた甘いから」

「そんな‥‥」

名無しの綺麗な瞳が不安げに揺れる。

本当は知ってる。

名無しが誠実に俺だけを愛してくれてること。

なのに俺は更に嫌な事を言ってしまう。
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