第33章 歪んだ愛で抱かれる 後編 【三成】R18/ヤンデレ
「名無し様、疲れましたか?大丈夫ですか?」
「!!…は…はい…」
当の三成から話しかけられ、びっくりして思わず返事に詰まってしまう。
「今日はいい天気ですね。終わりかけていますが、紅葉がきれいです」
それからいくつか会話を交わしたがあまりにも自然な態度で、自分を散々に蹂躙した彼は夢だったのかと、名無しはそんな気さえしてくる。
「喉渇きませんか?」
「ありがとう」
差し出してくれた水筒の水を飲むと、その清涼感に胸の中が少しスッキリした。
「順調に来ています。あと一刻ほどで着きますよ」
彼の顔に浮かんだ『天使』な柔らかい笑顔に、名無しの顔も綻ぶ。
やっぱり彼が好き、あらためて思った。
色々とこじれてしまったが今もその思いに変わりはない。
あれだけの豹変を見たのに単純すぎるのだろうか。
そんな考えも頭をよぎるが、爽やかな秋晴れは名無しの心を前向きにする。
いつかきっとわだかまりは解ける、時間はかかるかもしれないけれど。
そして普通の恋仲関係になれたら…そんな希望を胸に抱いた。