第33章 歪んだ愛で抱かれる 後編 【三成】R18/ヤンデレ
ガサガサと誰かが木立を分け入る音がして、
「見つけた!こんなところにいたのか…って、名無し、どうした!?大丈夫か?」
二人を見つけた慶次が心配して駆け寄ってきた。
「ここで倒れておられました。どうやら気を失っているようです。きっと疲れているのでしょう」
三成は何事もなかったかのように返事をする。
その夜、名無しはさらに貪られ続けた。
数ヶ月が過ぎ…
三成と名無しの祝言が執り行われていた。
奇しくもちょうど一年前、名無しが泰俊に輿入れした日と同じようにしんしんと雪が振り続ける日だった。
どこまでも真っ白な景色の中で、その身にも白い打ち掛けをまとった名無し。
すべてを呑みこんで覚悟を決めた彼女の顔はどこか愁いを帯びていて、さらには不思議な色気も漂う。
「あー…綺麗だなー…名無し様」
遠く離れた建物の屋根の上に、彼女をじっと見つめる者の姿があった。
それは黒い装束姿の蘭丸。
「遠くから見守るだけで十分だって、思おうとしたよ。だけどさ…」
懐から取り出したのは一本の縄。
名無しの自害を止めた時に彼女の両手を縛ったもの。
「…ズルいよね。これじゃ奪った者勝ちだよ。俺だってさ…欲しいよ…」
白い世界の中で、紅を引いた彼女の可憐な唇が目に染みるように映える。
振り払うように視線をそらすと、蘭丸は縄を握りしめながら屋根から降り立った。
後編 終