第33章 歪んだ愛で抱かれる 後編 【三成】R18/ヤンデレ
やがて季節は秋へと移り変わり、居館を隠す鬱蒼とした木々は紅く色づいていった。
閉じ込められている名無しは空気が冷えていくこと以外に季節を感じるすべはない。
その夜も、三成は部屋を訪れる。
毎夜のことだけど、彼の姿を見た名無しの心臓はいつもドキッと大きく跳ねてしまう。
憤りや恐れは拭えないのに、彼はあまりに魅力的で…
なぜか日に日に男らしさを増していき、眩しいくらいだった。
(その理由を名無しはわかっていなかったけれど、実は最愛の女性を手に入れ、男としての確固たる自信がついたことによるもの)
彼がまとう強い色気にあてられ、大事なところが勝手に濡れてしまうのを自覚しながらも、名無しは素直には受け入れられない。
「いや…」
自分で自分を抱きしめるように腕を体に回し、ぎゅっと全身を強張らせて彼を拒んだ。
「どうして…」
その様子に、三成は眉を下げてため息をつく。
「どうして未だに抗うのです?名無し様のかよわい身では、男の私の無理は必ず通されてしまう。わかっているのでしょう?抗ったって無駄だと」
抵抗する彼女の身体を押し開くことはたやすいし、雄の本能的な興奮だって伴う。
だけどそれ以上に、無理が重なって名無しの心身に負担をかけるのが心配だった。
卑劣な策を使った自分を受け入れられないのは無理もないし、憎まれても当然のこと。
だけど…
「私は今後も、貴女を愛し続ける。それは一生変わらない。だからもう、素直に身を任せた方が良いのではないですか?」
ただ身勝手な言い分を並べただけの、こんな説得しか浮かばないけれど、どうか受け入れてほしいと切に願った。
それでも彼女は唇を噛んで首を横にふる。
三成はもう一度ため息をついてから、名無しの両手を体から引き剥がし、いつものように強引な愛を彼女に心身にぶつけた。