第33章 歪んだ愛で抱かれる 後編 【三成】R18/ヤンデレ
いくら媚薬のせいで思考に靄がかかっているとはいえ、最後の砦のような自尊心と恥じらいから、それを言葉に出すことはできない。
しかし、そんな淫らな期待は彼女の表情にありありと現れてしまっていた。
名無し自身は気づいていないけれど、紅潮した頬や潤んだ瞳、ゆるんで半開きの唇はなんとも淫靡な様相。
それを見た三成の顔はふっと甘く綻ぶ。
「わかりました。少しお待ちください」
そう言って立ち上がり部屋を出た。
取り残された名無しが不思議に思っていると、戻った彼が手にしていたのは裁ち鋏。
(なにをするの…?)
鈍く光る刃を目にした名無しの背筋に冷たいものが走る。
「絶対に動かないでくださいね」
状況にまったく不釣り合いな柔らかい声で言うと、三成は名無しの襦袢の左袖口を引っ張り、鋏の刃で挟んだ。
「これは川名家で与えられた物でしょう?」
名無しは震えながら頷く。
「あまり質が良くありませんね。こんな物は名無し様には合わない」
ジャキンッ!!
鋭い音が響き、切られた袖口の布がだらりと垂れ下がった。
そのまま三成は鋏の刃を布に這わせて袖から腕、肩の方へと襦袢を断っていく。
「…あっ!…」
肌に少し触れた鋏の氷のような感触に、名無しは無意識にビクリと肩をすくませてしまう。
刃が肌に当たる直前で三成は鋏を止めた。
「危なかった…。すみません、怖いと思いますがどうかじっとしていて。もし万が一名無し様の肌を傷つけてしまったら、私はそれ以上に自分の肌を切り裂きます」
ジャキッ、ジャキッ、と慎重かつ規則的に鋏が進んでいく。
「大丈夫。名無し様の身に付けるものは今後すべて私が贈りますね」
淡々とした三成に狂気を感じ、生きた心地のしない名無し。
鋏は襦袢の首元から抜けると、反対の首元から再び入り袖へと断ち進んでいった。
腰紐を解き、もはや意味を失くした襦袢の布を三成が容赦なく取り去ると、名無しは両手を縛られたまま裸に剥かれてしまう。
外気に触れた肌が一気に粟立ち、慌てて拘束されている手で胸を隠した。