第31章 歪んだ愛で抱かれる 前編 【三成】R18
「私でよければ…どうか名無し様を愛させてください」
(三成くんが私を…?まさか…そんな…)
驚いて見開かれた名無しの瞳から、涙が雫となってこぼれ落ちる。
「私もずっと、三成くんが好き…」
届く筈はないと胸にしまってきた三成への思い。
相思相愛が叶った今、心が嬉しさに震えた。
再び名無しの体は三成の腕に閉じこめられる。
すっぽりと自分を包みこむ力強い腕と胸の感触は、名無しの欲望にさらに火をつけた。
「はぁ…苦しい…お願い、触って」
潤んだ瞳で見上げて吐息まじりで懇願をする。
ずっと思いを寄せていた大切な人のそんな淫らな様子に、三成の中で甘美な興奮が湧き上がる。
「…もう自分を抑えられません…」
彼女の熱い頬に触れてから、背中から腰まで襦袢ごしに撫で下ろしていった。
「あっ…」
全身が敏感になっていて、それだけでも感じてしまいビクンと体を震わせた名無し。
「名無し様のことがずっと好きだったのに…なかなか思いを伝えられなかった…。そして貴女は政略結婚の話を受けた。あらゆる手立てを考えましたが、情けないことに軍師として政略結婚以上の策は浮かばなかった」
(そんなこと夢にも思わなかった…)
「名無し様がここを去った雪の日、苦しくて苦しくて、狂いそうなほど悔しくて、とても貴女の前には出られなかった」
(そこまで思っていてくれたなんて…)
名無しの胸の奥がぎゅっと痛む。
「四六時中、名無し様のことが頭を離れません。好きで…好きで…たまらなくて…」
三成は、あふれる感情とともに上ずっていく声で秘めていた思いを告白し続けながら、彼女の髪や背中、腰から下半身にかけてそっと撫でていった。
好きな人から愛の言葉で耳がとろけそうになりながら、
優しく触れられる心地よさ、
相思相愛の喜びに、
名無しの心はキラキラしたもので満たされていく。
「嬉しい…私もあなたがずっとすき…」
多幸感から緩んだ表情とは対象的に、体は敏感に反応してビクビクと細かく震え続けていた。