第31章 歪んだ愛で抱かれる 前編 【三成】R18
「あぁ……あっ!!」
そんなのは焼け石に水で、腰がうずうずと勝手に動き、体がさらなる刺激を欲してやまない。
(でも…こんな恥ずかしいことを…ここでしては…だめ!)
そう思っても強くなる衝動には抗えなくて、
「…いやぁっ!」
思わず大きく声が漏れてしまったその時、
「名無し様っ!大丈夫ですか?」
襖の向こうから三成の声がした。
(!!…まさか近くに三成くんがいたなんて!)
「だ…大丈夫…」
名無しが慌てて襦袢の衿元と裾を直すと、静寂の中に衣擦れの音が響いて、何かを悟られないかとさらに焦ってしまう。
(…どうして?…いつからいたの?)
恥ずかしい声も聞かれてしまったのか?
「夕餉に来られなかったのが心配で…。長旅で疲れたと聞きましたが、具合が悪いのですか?…」
気遣いに満ちた問いかけに余計に泣きたくなり、名無しは必死で堪えた。
「大丈夫…」
「…名無し様…」
困った様子の沈黙がしばらく続いてから、
「…入ってもよろしいですか?」
意を決したように三成が言った。
「………はい」
名無しはそう返事をしてしまってから、自慰をしようとした後ろめたさと恥ずかしさで自分の姿を隠したくなって灯りを消した。
しかし、実はかなり前から廊下にいて暗さに目が慣れていた三成は、部屋に入った瞬間に名無しの泣き顔と襦袢姿、雑に脱ぎ捨てられた小袖を見てただならぬ様子を感じ、はっと息をのむ。
「ごめんなさい、心配かけて。何でもないの」
「でも…泣いておられます」
(ああ…だめ…私どうかしてる)
気遣ってくれている三成を目の前にして、名無しの中の甘い衝動は強まりタガが外れそうになる。
日中、彼に異性としての魅力や警戒感を感じてドキドキした場面が何度もあったけど、今は壊れそうなほどに鼓動が高鳴っている。
(強く抱きしめられたい…)
「帰ってきてほっとしたら泣きたくなっちゃった…。今日はありがとう、色々気遣ってくれて。でも、今は一人になりたいの…」
(あの手で、あの長い指で触れてほしい…。彼はどんな風に女の子を愛するの?…)
頭の中に浮かぶ妙な思考を名無しは必死に隠す。