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イケメン戦国 書き散らかした妄想

第30章 五色の夜 春日山城編5 【信玄】


「おいしい!」

お刺し身は新鮮、焼き鳥は香ばしくて、その他の料理もそれぞれ素材の味が生かされていた。

お腹が空いていた私は、見つめられてることも忘れてパクパク食べる。

「やっぱりいいなー。名無しは実に美味しそうに食べる」

そういえば義元さんにも同じようなことを言われた。

恥ずかしいな、信玄さまにも食いしん坊だと思われてる。

「すごく美味しいです。春日山城のお料理もいつも美味しいけど」

「ああ。美女と二人で食べる料理はますます旨い」

よくそういうセリフが次から次へと出てくるな。

なんて思いながら煮物を食べる。

嫌いなしいたけが入ってるけど、食べられなくもないので食べよう。

箸で持ち上げたとき、

「それ、くれないか?」

信玄さまは自分の器を差し出した。

「え?」

「しいたけ苦手なんだろ?」

「何で知ってるんですか?」

私、嫌いだって言ったことない。

いきなり城に転がり込んだ身で好き嫌いなんて言えないから。

「いつも覚悟を決めたような顔をして口に運ぶんだ。それがまた健気でいい」

「私、そんな顔してました?」

「いや、ごくわずかな表情の変化だ。君をいつも見ている俺にしかわからないだろうな」

普段の食事の席では、別にそこまで凝視されてなかったと思うけど、洞察力すごいな信玄さま。

「ありがとうございます…」

しいたけを信玄さまの器にのせると食べてくれた。

何だか甘やかされてるな。

食後におだんごやおまんじゅうもいただき香ばしいお茶を飲んで、大満足でお店を後にした。







「とても美味しかったです。ごちそうさまでした」

「こちらこそありがとう。君をひとり占めできて最高の時間だった。さてと、これから連れて行きたいところは小高い場所でね。少し坂を登る。本当は輿に乗ってもらおうと思ったんだけど」

輿ってなんだっけ…?しばらく考える。

おみこし状態で運ばれていくってこと?

うわ、めちゃくちゃ恥ずかしい。

「いえいえ!そんな仰々しい!歩きます」

「君はそう言うと思ったよ。では俺の背中はどうだ?」

「いえいえ!それも結構です」

信玄さまはくっくっと笑った。

私の反応を楽しんでいる様子。

「やはりたくましい姫君だ。では申し訳ないが、坂登りにしばしつきあってもらえるかな」

「はい」
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